
世の中に探偵に憧れる人は多いです。
多くの探偵社への取材経験に基づき、探偵になるための方法を紹介します。
免許や資格は必要なのかというよくある質問にも答えます。
と同時に、読者が現実の探偵の仕事を理解した上でなりたいのかどうかが心配です。
そこで具体的な仕事内容や仕事環境なども紹介します。
意外に思われるかもしれませんが、探偵には資格も免許もありません。
自分で経営する時のみ、簡単な手続きがいるだけです。
探偵社に雇われて探偵をやる場合は、届出も何もいりません。(役員は別)
一般企業で働くのと同じで、配属されてすぐ調査実務に就きます。
個人事業主として探偵をやる場合と、探偵会社を経営する場合は公安委員会への「届出」が必要です。
お役所の許認可というのは5種類あって、ハードルが高い順に並べると、免許>登録>認可>許可>届出 です。
つまり届出は一番簡単なものです。
欠格事由に該当せず、書類が揃っていれば審査もなく受理されます。
欠格事由というのは探偵業経営が許されない者の条件で、「暴力団員及びやめて5年以内の者」がその代表です。
受理されると届出番号が発行され、届出証明書を交付されます。
届出証明書は事務所の見やすい場所に掲示しておくことが義務づけられています。
【総合探偵社クロル埼玉拠点の届出証】
届出は本社だけではなく、支社・営業所・相談室などのすべての拠点の分をそれぞれの地元の公安委員会に出すルールです。
経営者だけでなく、役員全員の氏名・住所を記載する必要があります。
以上のように届出だけで開業でき、専門能力や経験の証明を求められません。
そのため、早期の開業を含めた選択肢があります。
具体的には、次の4つの方法があります。
雇われて探偵をする分には、元手も特別な手続きも不要で、一番簡単に探偵になれます。
一般企業で働くのと変わりません。
調査力の高い探偵社に入って、いい先輩に巡り合えた場合はベストの選択でしょう。
探偵学校とは比べ物にならないほどのスキルが身に着くはずです。
独立開業を目指して、修行しながら準備していくことも可能です。
ただ、一般に定着率は低く、早い時期に離職して履歴書に傷がつくリスクはあります。
いい会社に入っても、適性がなかったり、ハードな仕事の現実を知って辞めていく人は多いのです。
ノウハウの乏しい会社、ブラックな職場も多い業界なので、幻滅や燃え尽きで退職する人も多いです。
また、体力と鋭敏な感覚が必要な仕事なので、あまり年のいった未経験者は採用されにくいです。
まず、学校や有料講座で学ぶというのは順当な考えです。
履歴書に残ることをする前にまずは学んでみたいとか、最初から独立開業志向の人はこの道になるでしょう。
しかし、受講料が高額な割に内容が実践的でない学校が多いので注意が必要です。
探偵業法の講義ばかり長くて、調査技術をしっかり教えないところはダメです。
あと、経営コースでは集客~面談~受注のノウハウをしっかり教えてもらわないと仕事を取れません。
調査業務もですが、集客して仕事を受注することも簡単ではないのです。
探偵業は看板だけで、学校事業で儲けている所も多いので注意が必要です。
そういうところはカリキュラムもスカスカです。
母体の探偵業がしっかりしたスクールを選びましょう。
そうすれば卒業後に入社する道もあるし、独立開業後もしばらくケアしてくれます。
外注協力先として末長い関係を築いていくことも可能でしょう。
探偵学校の中では、さくら幸子探偵学校が、母体の探偵社もしっかりしていていいのではないかと思います。
コンビニの開業のような方法もあります。
加盟料を払い、研修を受けてノウハウを教えてもらい、開業後はロイヤルティを支払う。
それにより、知名度のある商標と本部の支援を使えるのがフランチャイズです。
本部をフランチャイザー、個々の加盟店をフランチャイジーと呼びます。
フランチャイズ | レギュラーチェーン |
---|---|
コンビニ、マクドナルド、おそうじ本舗 | スターバックス、ガスト、バーミヤン |
加盟店の資本を使いながら多店舗展開するのがフランチャイズ事業です。
これに対し、全部本部の資本で出店し、本部が直接経営するのがレギュラーチェーンです。
上記は事例ですが、外見だけでは違いはわかりません。
一番有名なのはガルエージェンシーです。
全国で100店以上を展開する国内最大の探偵フランチャイザーです。
加盟店になれば、ガルエージェンシーの看板で商売を始められます。
探偵業は届出だけで開業でき、未経験者の開業すら違法ではなく、実際にやる人もいます。
最低限カメラ・スマホ・車があれば始められるし、尾行くらい誰でもできると考えるのでしょうか?
しかし、実際はそんなに簡単なものではなく、依頼者を満足させる結果を出すのは難しいと思います。
また、集客と仕事を取ることも簡単ではありません。
事務所を構えてホームページを作っただけで受注できるものではないのです。
このため、ノウハウもなく開業した企業の多くが廃業していきます。
依頼者に迷惑をかけた上に失敗する可能性が高いので、おすすめできません。
映画やドラマのロマンティックなイメージが先行して、探偵の現実が分かっていない人もいます。
探偵になりたいという前に、まずその仕事内容を知るべきではないでしょうか?
その上で向いていそうか、本当にやりたいか考えましょう。
一般的には受注件数の比は、浮気調査7:人探し2:その他1くらいです。
映画やドラマのような刑事事件がらみの調査は皆無です。
浮気調査 |
カップルを尾行して、ホテル出入りの写真を撮ってくる仕事。 |
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人探し | 家族の依頼による家出人探しがメイン。 |
その他 |
結婚相手の調査(当人および実家) |
探偵の一番大切なスキルは行動調査です。
尾行・撮影で調査対象の行動を記録することをいいます。
浮気の証拠を押さえる目的の行動調査が浮気調査です。
行動調査は、素行調査など他の目的でも使用されます。
尾行の基本は教えてもらえますが、教えて全部教えられるものではありません。
相手の警戒に対する鋭敏な感性が必要です。
鈍感な人だと張り込みでも不審者として近隣住民に通報され、警察の職務質問を受けることになります。
また、尾行、チームメイトとの連絡、運転など多くのことを同時にこなせる能力が必要です。
対象が予想外の行動に出たり、通れると思っていた道が工事中だったり、尾行中はいろいろな事が起きます。
次々に的確に判断して行動できないと、あっという間に発覚(バレる)か失尾(見失う)してしまいます。
健康・体力・ストレス耐性は、言うまでもなく非常に重要です。
外見的には平凡で記憶に残らない方がよく、目立つ人、一度会ったら忘れられない強烈な個性がある人は向きません。
上記の探偵の主力業務とカラーの違う調査もあります。
もしかしたらこの中にあなたがピンとくる仕事があるかもしれません。
主に聞き込みのことです。
昭和時代は「興信所の者ですが、Aさんの評判を教えてください。」というような素朴な聞き込みがありましたが、今はもうないです。
探偵は警察とは違うし、個人情報保護にうるさい昨今、そんなやり方では誰も答えてくれません。
また、調査していることが相手に伝わるとマズイ場合の方が多いのです。
そこで現代の聞き込みは、対象の関係者と接触し、会話テクニックを駆使して、聞き込みと悟られずに情報を集めます。
結婚相手の調査や失踪人捜索で重要な調査技術です。
この仕事は資質・才能のある限られた人にしかできません。
できる探偵がいる探偵社も限られています。
だからそういう探偵がいない探偵社は、必要が発生するとこの部分を外注します。
もし、あなたが下記のようなタイプなら向いているかもしれません。
内偵調査が得意な探偵になれたら、重宝されることは確実です。
調査対象が人間ではなく機械という点が、他の探偵業務と大きく違います。
探偵社での受注件数は少ないですが、盗聴器発見だけを専門にしている業者もあります。
警備会社もやっているようです。
機械相手の方が適性・興味がある人は、専門業者を当たるのもいいでしょう。
各種名簿・ネット上の情報・郵送調査などを通じて調査する業務のことを指します。
例えば、名前だけで住所を探り当てるなどです。
尾行や張り込みなどの実地調査をしないので、探偵業法上の探偵業ではなく、同法の制約も受けません。
探偵業の業務の一部というより、探偵業者が外注で使う専門業者です。
こういう業務の方に適性・興味がある人は、データ調査専門会社を当たるのがいいかもしれません。
探偵の仕事は非常にハードです。
相手の都合で発生する浮気や家出に対応する仕事なので、勤務時間も不規則極まりないです。
業種の特性的に稼働率が低く、仕事がない期間が長く続くこともあります。
それが依頼が入った途端、突如忙しくなり、任務完了まで一瞬も気が抜けない状態に置かれます。
ブラックな職場も多いです。
ホワイトな職場であってもお役所や銀行のような定時始業・終業は絶対無理です。
この業界に行くなら、プライベート優先は無理とよく理解しておく必要があります。
探偵を目指す人に探偵社を2社紹介しておきます。
どちらも取材経験があり、このサイトに記事を掲載しています。
あなたが連絡を入れた時点で求人募集している保証はないですが、とてもいい会社です。
この2社は下記のようにいい面で共通点が多いです。
最後に、就職活動をする人のために、探偵業界がどんなところか簡単に紹介しておきましょう。
会社探しの参考にしてください。
次の2つの理由により、参入が簡単なため、届出数は一貫して増えています。
平成3年末の届出数は6,600社以上で、その大半が個人・零細業者です。
優秀な会社もある一方で、ろくなノウハウ・経験もない業者も多いです。
昔から消費者トラブルの多い業界ですが、働く人間にとってもブラックな職場が多いことで有名です。
こういう世界なので、探偵社に就職する時は話をよく聞いて、相手をしっかり見極めましょう。
あなたの幸運を祈っています。