家出というと反抗期の10代がすることというイメージをお持ちの方も多いです。
しかし、実際は探偵社への捜索依頼が一番多いのは成人男性です。
そして「男だから大丈夫だろう」というのは逆で、成人男性の家出は自殺率が高いのです。
この問題についてまとめました。
成人男性が家出に走りやすい年齢帯というものがあります。
人生のその時期に起きやすい悩みと深く関連しています。
件数が多い順に紹介しましょう。
原因は仕事がうまく行かない、解雇などです。
アラサーは結婚を考える時期でもあり、徐々に転職が難しくなる年齢でもあります。
仕事が安定しないと将来を悲観してしまう気持ちは理解できます。
原因はやはり仕事で、リストラ、降格・減給などです。
住宅ローンを抱え、子供もまだ大学を卒業していなくて責任が大きい中、収入が激減したり、なくなったりする。
再就職はほとんど無理で、低賃金のアルバイトくらいしか仕事がない年齢です。
途方に暮れて家を飛び出し、自殺を考えてしまうのも無理はありません。
原因は留年か就職失敗です。
どれも原因は将来を悲観してしまうようなものであり、だから自殺と結びつきやすいのです。
男性の家出にこういう傾向が顕著であることは知っておくべきです。
自殺を考えているかどうかで行き先が大きく分かれます。
もちろん例外もありますが、この経験則に従う場合の方が多いです。
都会のネットカフェ・マンガ喫茶が圧倒的に多いです。
それも地元の小都会ではなく、なるべく大都会へ行きます。
知り合いと遭遇する危険も少なく、行き場のない人間が落ち着ける雰囲気があるからです。
埼玉なら大宮ではなく池袋へ、栃木なら宇都宮でなく秋葉原へ、といった具合です。
すぐに決行する段階でない場合は、思い出の地を巡る人が多く、これは男性に顕著な特徴です。
具体的には、子供の頃に住んでいた町、学生時代を過ごした町、思い出の旅行先など人それぞれ。
死ぬ前に人生の幸せだった時期を思いだしたいわけです。
【男性は自殺前に郷愁の旅に出る傾向大】
すぐに決行しようという段階では、いわゆる「自殺の名所」のようなところが危ないです。
全国的に有名なのは富士山麓の青木ヶ原樹海ですが、「自殺の名所」は各地にあります。
遺書や「今までありがとう」といったメモを残している場合は、完全に自殺志向です。
即座に行動を起こさないと手遅れになります。
財布、携帯などを何も持たずにいなくなるのも危ないです。
それらがないと生きていけませんから、もはや生きる意志がない可能性があります。
逆に大量の荷物や家財道具を持ち出している場合は自殺の危険はありません。
計画的な家出であり、行き先も決まっていることを意味するからです。
以上のような兆候が何もない時は判断に苦しむわけですが、甘くみるべきではありません。
まずは警察に捜索願(正しくは行方不明者届)を出しましょう。
ただし遺書など自殺の危険が明白な材料がなければ、熱心に探してもらえないことが多いです。
家出人の友人・知人には連絡や面会があったら知らせてくれるようお願いしましょう。
無事に自主的に戻ってきた場合は「大ごとにした」と怒られるかもしれませんが、取り返しのつかないことになるよりマシです。
次に探偵への捜索依頼です。
自分で帰ってくる場合もあるので、依頼を保留して待つ人も多いですが、自殺の危険がある時は待つべきではありません。
警察に提出した行方不明者届は、一般家出人と特異行方不明者に分類されます。
[行方不明者発見活動に関する規則(平成二十一年十二月十一日国家公安委員会規則第十三号)第2条第2項]
成人で健常者の自主的な家出の場合、該当するとしたら4だけです。
4を満たさないと一般家出人として扱われ、警察内で情報共有する程度で真剣に探してもらえません。
もっと優先順位の高い仕事で忙しいし、そもそも成人には誰にも行き先を告げずに好きな場所に行く自由があるからです。
また発見した場合も、成人なら当人に捜索願が出ていることを知らせるだけで、連れて帰ってくれるわけではありません。
家族には発見したことを伝えてくれるので、無意味ではないですが、危ない時には助けにならないのです。
遺書はないが自殺の危険があると家族は考えても、警察はわかってくれないかもしれません。
そういう場合は警察には期待せず、自分たちで探偵を使って探すしかないのです。
浮気調査はどの探偵社もやりますが、家出人探しは違います。
下記の条件を満たす探偵社でないと無理なので、ちゃんとできるところを選んでください。
下記のような情報を渡して捜索を依頼します。
自室に手がかりが残されていることも多いので、探偵が求めた場合は恥ずかしがらずに見せてください。
依頼を受けると探偵社は数人のチームを組んで探します。
家出人を発見すると探偵は家族を呼び寄せます。
対象を居場所を監視しながら家族の到着を待ちます。
家出人を家族が探して発見した体で引き合わせ、探偵は表に出ません。
このようにする理由は、探偵には身柄を保護する権限がないため、先に声をかけて逃げられてしまえば終わりだからです。
残念ながらすでに死んだ状態で見つける場合、あるいはすでに警察が収容したという情報を入手する場合があります。
この場合、探偵は警察立ち合いのもとで本人照合した後、本人の可能性があると判断した場合は家族を呼びます。
警察も早く身元確認したいので協力的です。
明かな自然死や病死以外は「検視」が法で義務付けられているので、家出人が遺体で見つかった場合は必ず実施されます。
事件の疑いがある場合は司法解剖も行われるので、遺体引き渡しまで数日を要します。
地域により、検視の費用の一部負担を求められる場合があります。
後に述べるように住宅ローンを抱えている場合は、たとえ亡くなっていても発見しないと残された家族が大変なことになります。
住宅ローンを抱えた一家の主が行方不明になると非常に困ったことが起きます。
生きて帰ってくれるのが一番ですが、たとえ亡くなっていても発見されれば団体信用生命保険(団信)が下ります。
ただし、1年間の自殺免責期間が過ぎていることが条件です。
ローンの残債は完済され、家の抵当権は抹消されて、マイホームは残された家族のものになります。
しかし、行方不明のままだと稼ぎ手がいないのにローンを払い続けることになります。
家を売ることができればいいですが、これが簡単ではないです。
まず所有権の問題があります。行方不明の人が所有権を持つものを妻や子供が勝手に処分できません。
たとえ所有権の一部を持っていてもです。
この問題をクリアする手続きが必要です。
次に家を売った代金を全額返済に回しても多額の残債が出る場合、いわゆるオーバーローンの場合が大変です。
新築の場合、かなり頭金を用意できる人を除いて、普通は住宅購入後の10年くらいはオーバーローン状態です。
入居したとたん家は中古住宅になり、価値が大きく下がるからです。
それ以外に地価の下落、家屋価値の下落(火災・地震・水害による損傷、傾き・雨漏り・シロアリの発生)でオーバーローンに陥る場合もあります。
住宅以外に諸費用も借り入れでまかなったため、最初からオーバーローンの場合もあります。
オーバーローンの場合は、最初に売却額を引いた残債分をどこかから調達して全額返済する必要があります。
そうして抵当権を抹消してもらわないと、現実には家は売れません。
法的には売りに出せますが、赤の他人の抵当権の設定された物件を買うような人はいません。
参考サイト: オーバーローン状態の住宅の売却(不動産サイト)
やがて返済が滞るようになり、自宅は差し押さえられ、最後は競売にかけられます。
それを返済に充てても残ったローンが返せず、自己破産に陥ることもあります。
このように家出人が見つからないと残された家族は地獄に落ちる危険があるのです。
住宅ローンがある場合は、優秀な探偵を使って、生死によらず何としても発見しなければいけません。
家出人捜索に関して、依頼者も捜索に参加できるプランを提供している探偵社があります。
捜索のうち素人でもできる部分を任せてもらうことで料金も安くなるというものです。
参画してもプロほど効率が上がらないのは言うまでもありません。
しかし、探偵チームとの一体感は増します。
お任せにした場合の「本当に探してくれているのか?」という焦燥感からは逃れられます。
この方式は探偵業界でも前代未聞ですが、依頼者の反応はいいそうです。
興味のある方は下記の記事をどうぞ。