探偵の調査費用の適正化を図る方法のシリーズ記事です。
今回は人探しでの成功報酬の活用について。
探偵の調査メニューの中でも人探しは成功報酬がなじみやすい調査です。
使いこなしていく方法を考察します。
成功報酬は求める結果が出た時だけ料金が発生する料金方式です。
結果が出なかった時は払わなくていいので、依頼者にはお得です。
結果が出なかった時は0円の完全成功報酬方式と、基本料金+成功報酬の二階建て方式があります。
成功報酬を採用する場合の重要なポイントは、事前に「成功の定義」を探偵社とよく話し合っておくことです。
「成功の定義」とは「何をもって成功とみなすのか?」ということです。
これが依頼者と探偵社の間で一致していないために揉めることが多い。
例えば浮気調査をして対象がホテルに行かなかった場合、その調査は成功なのか、失敗なのか?
依頼者は浮気の証拠は取れなかったのだから、失敗と思うかもしれません。
しかし、探偵社は発覚(バレる)も失尾(見失う)もせずに最後まで追ったのだから、成功というでしょう。
ホテルに行く行かないは当人たちの問題で、自分たちはどうすることもできない、と。
このように浮気調査で成功報酬は揉めやすいのですが、人探しには比較的相性のいい課金方式です。
基本的には「探し人が見つかるのが成功で、見つからないのが失敗」ですから。
しかし、実はよく考えるとそれほど単純でもないのです。
これから色々なタイプの人探しで成功報酬の適用を考察していきましょう。
人探しは浮気調査の次に多い依頼ですが、その大半を占めるのが家族による家出人探しの依頼です。
最近では家族による家出人探し以外の人探しは受任しない探偵社が増えています。
ストーカーやヤクザが嘘をついて探偵社を利用する場合があり、もしそうだった場合に世間の目が厳しくなっているからです。
参考サイト: 探偵がストーカーに協力してしまい、問題になった逗子ストーカー殺人事件
さて、家出人探しの手法はローラー調査です。
数名でチームを組んで人海戦術で探すものです。
探偵は経験の蓄積で家出人が行きやすい場所を知っており、依頼者の話を聞いた上で優先順位をつけます。
そして順番にしらみつぶしに探していくわけです。
家出人の場合は見つかって再会できるか、見つからないかのどちらかに落ち着きやすく、成功報酬となじみます。
ただ、必ずしも生きて再会できるとは限りません。
家出の動機はしばしば自殺の決行だからです。
特に危ないのが、リストラ・降格・減給・就職失敗・留年などで将来を悲観した成人男性の家出です。
探偵も生きて発見しようと力を尽くしますが、手遅れで遺体を見つけることもあります。
家族には残念な結果ですが、この場合も調査成功とみなされます。
「生きて見つけてほしかった。探偵のおまえがもたもたしているからだ。この調査は失敗だ!」というのは通用しません。
もしすでに自殺していたなら、手厚く葬ってあげることができます。
野ざらしのまま何年も発見されないよりはずっとましです。
また、住宅ローンを抱えた稼ぎ手なら、生死によらず見つけることが家族の今後の人生のためにとても重要です。
亡くなっていた場合は団体信用保険が下ります。(1年の自殺免責が過ぎていることが条件)
住宅ローンが完済され、家は家族のものになります。
一家の主の死は悲しむべき事ですが、遺族の住処が以後安泰なのは不幸中の幸いです。
一方、行方不明のままだと、所有権者不在で家を売ろうにも売れない。
やがてローン滞納、家の競売、自己破産というようなことになっていく危険が大きいのです。
探偵の世界では家出人と失踪人は区別されていて、失踪人というのはいなくなって長い時間が経っているものを指します。
なぜこの区別が重要かというと、最近いなくなったばかりの家出人と探し方が全然違うからです。
家出人探しよりずっと難易度が高く、どこの探偵社でもできる仕事ではありません。
家出人探しはローラー調査ですが、失踪人探しは住所録などのデータ調査と聞き込みがメインになります。
個人情報管理に敏感な昨今、警察でもない者が聞き込みなどしてもまともに答えてもらえません。
また失踪人が見つかることを望んでいない場合、探していることが伝わると、逃げられます。
だから聞き込みと悟られずに情報を集めていける技術が必要なのですが、非常に難易度が高いです。
この調査ができる探偵社は限られていることを知っておいてください。
失踪人探しと性質が似た人探しをひとつ紹介しておきます。
相続人同士で遺産を分け合う遺産分割協議書には全員の署名・実印が必要です。
しかし、相続人の一人が親族と疎遠で誰も行方を知らないということが時々あります。
何としても見つけないと相続が前に進まないので、探偵社に捜索依頼が来ます。
探し方は失踪人と同じです。
特に意味もなく疎遠になっているだけなら、比較的探しやすい場合も多いです。
いろいろな痕跡が残っているからです。
しかし、相手が隠れたがっている、縁を切りたがっている、見つけてほしくない場合は非常に発見が難しくなります。
痕跡が意図的に消されているからです。
加えて、探していることが伝わると転居されてしまいます。
その恐れがある場合は、最高の技術を持った探偵を雇って慎重に聞き込みを進めねばなりません。
揉めるケースで一番多いのは、住所を渡されて成功報酬を払ったが、訪ねてみると以前に引っ越した後だったという場合です。
同姓同名の別人という場合もあります。
実は「住所でポン」などのウェブサービスや「データ屋」と呼ばれる業者を使うと、住所の候補は簡単に見つかることも多いのです。
それをずいぶん苦労して見つけたように語って成功報酬を取れれば、探偵には美味しい話です。
実際に探偵が現場に足を運んで映像を撮って来て、そこに住んでいる人物が探し人に間違いないことを依頼者に確認してもらう。
それができて「成功」と定義するなら、調査料金も変わってくる可能性があります。
ほかにも次のような事態になる可能性があります。
1番目の場合、戸籍届書記載事項証明書(死亡届の写し)まで求めるのか?
それなら家族・親族で正当な理由がないと請求できません。
つまり探偵の報告を受けて、依頼者が請求し、入手に成功したことをもって成功とするのか?
相続人探しの場合はそこまでやらないと意味がありません。
2番目の場合、アメリカに飛んで探すなら現地の探偵も雇う必要がありますが、普通は費用面からも無理でしょう。
2番目3番目のような場合は調査打ち切りになると思いますが、成功報酬をどうするのかは事前に話し合っておくべきです。
下記のような人探しは最近は受けてもらえないことが多いです。
依頼者に騙されて違法な目的の調査をしてしまい、探偵業法違反になるリスクがあるからです。
例えば依頼内容は嘘で、本当はストーカーや闇金、ヤクザのの人探しだったという場合です。
しかし、当サイトで紹介しているMJリサーチやクロルのように、慎重に審査した上で引き受けてくれる探偵社は今もあります。
4番目の依頼は結構あり、お金を返してほしいわけではなく、真実を知りたいだけのことも多いです。
「あの時、お母さんが病気でお金が要ると言ったのは嘘だったのか?今も風俗で働いているのか?」といったことです。
上記のような人探しでは、相手が見つかっても、必ずしも会えないし、連絡先も入手できるとは限りません。
相手が見つかった場合、探偵は相手に事情を説明します。
依頼者の名前を出して、その人の依頼で探偵の自分が見つけたことをです。
その上で依頼者との面会や連絡先の通知を希望するか聞きます。
もしそこで、相手が希望しなかったら、探偵は引き合わせたり、連絡先を教えることはできません。
だからこの種の人探しはそうなる場合もあることを承知で依頼するしかないわけです。
しかし、これだと探偵は実際には見つけていないのに、相手が接触を拒否していると嘘をついて、成功報酬を請求することも可能です。
解決策は、探偵の報告の中に依頼者と対象しか知らないはずの話が含まれていれば話は本物、成功と認定することでしょう。
以上、人探しにおける成功報酬の活用について考えてみました。
コスパよく目的を果たせるように、参考にしてみてください。